かつてゲームに捧げた日々が、結婚と育児で一変した話
ゲームが人生の大部分を占めていた――そう言っても過言ではない、あの自由な独身時代。仕事が終われば、食事もそこそこにゲームを起動。徹夜で友人とボイスチャット、気づけば朝日が昇っていた……そんなゲーム漬けな毎日を送っていた人は、きっと多いんじゃないでしょうか?
でも、社会人になって、恋愛して、結婚して、さらに子どもが生まれると、状況はガラッと変わります。「自分の時間」は「自分だけの時間」じゃなくなるんですよね。
かくいう僕も学生時代はゲーム三昧でした。一人暮らしを始めて、講義が終わればバイトへ。そして家に戻れば朝までゲーム。一限の講義はいつもギリギリでした。社会人になってもゲームは僕にとって大切なストレスのはけ口で、特に格闘ゲームなどの対戦ゲームにどっぷりハマっていました。
それが今、夜更かしをしようとすれば隣の部屋から「静かにして」と妻に言われ、かといって妻が子どもの面倒を見てくれている間に自分だけ楽しくゲームするわけにもいかず…。
妻の気持ちは痛いほど分かります。育児と家事に疲れて寝ているのにゲームの騒音はつらい。子どもの面倒を見ているのに夫は楽しくゲームしてる。そりゃ腹も立ちますよね。ですが、それでも人生の大部分を占めていたゲームがほぼ封印状態になっているのは悔しい!
ということで、僕が現在も試行錯誤している「ゲームとの新しい付き合い方」。様々なことを実践しては玉砕を繰り返し、少しだけ上げることができた成果を皆様と共有したいと思います。
両立のために実践した対策と失敗談
解決策1. 「一緒に遊ぶ」という選択肢、その大きな罠
まずはこれ!これは相手がゲームに理解のある方限定かもしれませんが、一緒にゲームをしてみましょう。まずはゲームへの理解を得ることを第一目標とします。
楽しくゲームをすることの楽しさをわかってもらえれば、ゲームに対する妻の目線も優しいものとなるでしょう。また、家族のコミュニケーションとしても大変すばらしいです。家族みんなで一緒のものを楽しむ。素敵な時間ですね。
ただし、ここには大きな罠が存在します。
あなたはゲームに慣れており、妻がゲームに慣れてないとするとゲームで勝ちすぎてしまう恐れがあります。そして、「ゲーム=負けるもの=嫌なもの」という認識を植え付けてしまうかもしれません。つまり、ちょうどいい接待が必要になるのです。(体験談)
ということで、最もおすすめなのは「勝ち負けがない」、あるいは「一緒に勝ちを目指す」ものです。
【個人的おすすめゲーム】『PICO PARK』
このゲームはとにかく「協力プレイによる一体感」がとても楽しい。ポップでかわいいキャラクターを操作して、みんなで協力して仕掛けを解くというシンプルなルールなので、ゲームに慣れていない奥さんや子どもでもすぐに楽しめます。さらに、1ステージが短いので、「キリが良いところでやめよう」がやりやすいのも高評価。友人が来たときの接待用ゲームとしても使え、人数が増えれば増えるほどハチャメチャになっていきます。
【失敗談:「自分が面白いと思うゲーム=みんなが面白いと思うゲーム」ではない】
自分が面白いと思うゲームを知ってもらうというのも悪くない手だと思いまして、妻にゲームをおすすめしたことがあります。しかしこれはうまくいきませんでした。ちなみにおすすめしたゲームは『Vampire Survivors』。なんでこれをおすすめしたんだよというのは禁句。このゲームマジで面白いから。騙されたと思って2時間くらいやればわかるから。
無料だから!面白いから!詐欺のやり口のような勧誘方法でやらせてみたのですが、妻の反応は「わけがわからない。」でした。そこでゲーム終了。
そう、ゲームに慣れている人ならばわかるであろう「最初は面白くないが、あるところを境に急激に面白くなる」という感覚は、ゲームをよく知らない人には伝わらないものなのです。つまり、ゲームをやらない人からすれば「面白くない」ゲームとなってしまうのです。
解決策2. 隙間時間の有効利用、「やめ時」があるゲームを選ぶ
僕は苦手なジャンルのゲームが少なく、「赤の他人と協力する」ゲームでなければ大体楽しくプレイできます。そこで、家族持ち目線でのおすすめできるゲームジャンル、ダメなゲームジャンルはなんであるかを考えました。
ダメなゲーム代表は「対戦ゲーム」。シューティング、格闘ゲームなど。
こういった対戦ゲームは1プレイこそ短いものが多いですが、ここに罠があります。対戦ゲームは負けると悔しい。「もう一回!」とプレイし続けるうちに、いつの間にか夜が明けていた……そんな経験、誰にでもありますよね。終わりどころを見失うゲームは、熱中しすぎるあまり妻からの評価も下げてしまいがちです。
そこでおすすめなのが、自分の匙加減で進められるゲームです。要はRPGやシミュレーションゲームですが、アクションゲームでもポーズや中断がすぐにできるゲームであればおすすめできます。
中でもシミュレーションゲームは「こちらが動く→敵が動く」という一連の動作を1ターンとして進めるので、一手一手をじっくり考えながらプレイできます。また、こういったゲームは中断セーブ機能があることが多く、戦闘途中でも中断して、次回に持ち越すことが可能です。突然の妻の来訪や、子供が泣き始めた時も安心して対応できます。
しかし、「結婚してもゲームがしたい!」と悩むパパさんはおおよそにして「対戦ゲームがしたい!」という層なんですよね…
【個人的おすすめゲーム】『ファイアーエムブレムシリーズ』
「戦闘中どこでも中断セーブができる」という一点に尽きます。中でも『風花雪月』がおすすめ。最新作の『エンゲージ』よりコテコテのアニメ感がなく、真面目な戦争モノの雰囲気があるのもGOODです。難易度も簡単なモードから地獄のようなモードまで選べるので、様々なゲーマーにおすすめできます。お試しでやってみたい場合は、Switch Onlineにある『烈火の剣』がとっつきやすくて面白いですよ。
解決策3. 音を気にせず静かに遊ぶ、周辺機器の工夫
ゲームは音がします。ゲーム音、コントローラーの音、通話、驚きの声……これらの音はゲームをしない人にとっては騒音に等しいことでしょう。となると、それぞれの音を可能な限り削減する方法を考えて実践してみることにしました。
- ゲーム音:イヤホンをつける これは定番ですね。ですが、イヤホンをつけて妻の接近に気が付かず、大声で話しかけられてしまうのは避けたいところ。そこで個人的には骨伝導イヤホンをおすすめします。これなら多少の音漏れこそありますが、声に気が付かないことはないでしょう。最近のゲーム機器は大体Bluetooth対応しているので、接続できないということもないはずです。
- コントローラーの音:静音コントローラーにする、やさしくプレイする コントローラーの音はコントローラーを静音のものにするというのが真っ先に思いつく回答だと思います。今まで手になじんでいたコントローラーを手放し、静音のものを新たに用意するのはなかなか苦しい判断ですが、一つ持っておくと多少はマシになります。また、心を静めて穏やかにプレイすることを心掛け、コントローラーにやさしくしましょう。副次的効果としてコントローラーの寿命ものびることでしょう。
- 通話:ミュートにする… 通話はかなり難しくなります。それこそ防音室を設置するとかが対策にはなりますが、それはかなりのハードルになりますし、他の人から見ると「防音室に入る=ゲームに集中する」という図式が成り立ち、嫌な目で見られるかもしれません。ゲームのジャンルにもよりますが、ミュートにして通話に参加するというのは一つの手段です。Discordで通話を行っている方が多いと思いますが、読み上げBOTを導入して自分の声帯を担ってもらうのです。最低限の連携はできますし、対戦ゲームやパーティーゲームなどをしている場合は自分の手番が回るまでの待ち時間に文字を入力し、読み上げてもらうことができます。
【失敗談:そこまで大きな成果を期待しないこと】
僕のような、格闘ゲームにアーケードコントローラー(以下アケコン)が必須な化石勢には、騒音問題がつきものです。妻からも散々苦言を言われたものです。そこでアケコンを静音ボタン、スティックに交換し、アケコン内部に緩衝材を詰め込んでみました。結果としては個人的に上々で、打鍵音とスティックのガチャガチャ音のかなりの低減に成功しました。操作感もほぼ維持されていたので、正直「すごい!」と思っていたのですが…。
妻に聞いてみたところ「まあ静かにはなったけど…」となんとも言えないご様子。結論、自己満足としてはとてもいいけど、ゲームをやらない人には大差ないと思われます。深夜帯、妻が寝た後に隣の部屋でストリートファイター6をやっていたら「うるさい」と怒られました。残念!
また、Mutalkという防音マイクを購入し、どのくらい音が消えるのかを確かめました。もちろん静かにはなりました!しかし当然ですが無音にはならず、近くに人がいる場合は気になることでしょう。また、苦しめの呼吸音がマイクに入り、ダースベイダーのような感じになります。とはいえかなりの防音ではあるので、しっかりとした個室で遊ぶ場合などはいいと思います。
上記の通り、あくまでこういった商品は「これまでと比べて」静かであるだけなので、過度な静音効果は期待せずに購入するのがいいと思います。
解決策4. 「最も自由な時間」を無駄にしない
根本の問題として、なぜゲームができないのか。僕の思う一番大きな理由は「妻の目が気になるから」です(断定)。「私が面倒見てる中でゲームするの…?」「私が家事をしている中でゲームをするの…?」と白い目を向けられたら、ゲームをしようにもその気になれません。ということで妻が赤ちゃんと一緒に家にいないタイミングを見計らってゲームをします。
例えば、帰省など。この時間こそ一番のフィーバータイムです。このタイミングなら基本的に何をしてもOK!通話も、格ゲーも、なんでもやり放題!進めていたゲームで感動し声を上げて涙を流しても、ホラーゲームで驚いて大きな声をあげてもOK!近所迷惑だけは気をつけましょう。
【突然の帰宅に備える】
どんなことにも終わりはあります。次のフィーバータイムをしっかり楽しむために、妻の心証をよくしておきましょう。ある程度何時に帰ってくるかを確認しておき、その30分~1時間前にはゲームを切り上げ、迎え入れる準備をしましょう。ちょっとしたサプライズがあると、なおいいですね。部屋をいつもより丹念に掃除するとか、ちょっとしたデザートを準備するとか……これも次回への投資なのです。
【LINEをスルーしないこと】
出先からのLINEというのは往々にしてあるものです。それをスルーしてしまうと、「そんなに熱中していたの?」「こっちのことより優先することがあるの?」とあらぬ疑いをもたれてしまいます(実体験)。定期的にスマホをチェックし、連絡がないかどうかを確認しておきましょう。たまにこちらから連絡を取ったりすると高評価かも。
【楽しみにしすぎないこと】
久しぶりに自由にゲームできる時間を手に入れて、高ぶる気持ちを抑えられなくなる方もいることでしょう。しかし、注意点もあります。あまりにも楽しみにしすぎていると、妻に「私がいないほうが楽しそう」とネガティブな感情を持たれてしまうかもしれません(実体験)。
ひとまずは心の奥に「楽しみ」という感情をしまい込み、妻と子どもと一時的に離れる「悲しみ」を前面に引き出すのです。実際、家族と離れるのはさびしいですからね。その気持ちを奥様に伝えましょう。
解決策5. スマホは最強の相棒
スマホは最強のゲームハードです。「スマホでゲーム」というと昔はソシャゲを指していたように思いますが、今ではコンシューマーゲームも遊べるようになってきています。
スマホというものは基本的にボタンの音がしません。そしてどこでも手軽にできます。これらを踏まえると、まさに最強のゲームツールなのです。夜中、妻が寝たことを確認し、こっそり起動。満足するまで遊んで寝る。これを静かに、その場から動かずに行うことができます。また、電車通勤中などの隙間時間や、ある程度子どもをあやしつつゲームをすることなんてこともできます。
唯一の問題はスティックや物理ボタンがないため、操作感が悪いこと。アクションゲームは厳しいかもしれませんね。
【個人的おすすめゲーム】『Vampire Survivors』
2度目の登場です。妻にお勧めするのではなく、自分一人で楽しみましょう。最初は妻のようにわけが分からずに終わってしまうでしょうが、「この武器の組み合わせ強いぞ?」「このキャラなら長く生き残れるな」など様々な気付きを得てプレイヤーが成長してきます。そして気が付いたらこのゲームの沼にはまっているのです。
1プレイは長くて30分。ポーズ機能もしっかりあるので、突然の対応もできます。無料なので、ひとまず3ステージ目くらいまでプレイしてみることをおすすめします。
【個人的おすすめゲーム】『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランドRETRO』
懐かしきGB時代の作品がスマホに移植。3DSのテリーのワンダーランドもスマホで遊べますが、素朴な感じのするGBが私は好きです。あのドラクエのモンスターたちをお肉で餌付けし仲間に!仲間にしたモンスターの配合し、かっこいいモンスターを作ろう!ちなみにかっこいいモンスターより「なんでお前が?」っていうやつのほうが強いことが多いぞ!
完璧を求めない、「僕ら」のゲームライフ
自分が工夫してきたことは、このくらいになります。思いついては実践と玉砕を繰り返し、現状はスマホやSwitch、Steamの手軽なゲームをあさりつつ、妻の帰省の際に友人と通話しつつがっつりゲームをするというのが現在の僕のスタイルです。
面白そうなゲームを見つけてはプレイし、妻と子どもが寝た後などにちょくちょくと進めていく。過去の「親の目を盗んでこっそりゲームする」のに回帰しているように感じる自分がいます。
さすがに腰を据えて対戦ゲームにのめりこむというのは、難しくなってしまいました。まだ格闘ゲームなどの対戦ゲームはやっていますが、「ゲームとの関わり方」を変えていく必要があるのかな、とは思わされます。
しっかりと家事をこなし、相手のことを思いやった上で自分の時間を確保する。そして、その趣味の時間は誰にも迷惑かけないように配慮する。これを強く意識し、誠実に家族と向き合うことが大切です。そうすれば、きっと相手も理解してくれるはずです。
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